抗好中球細胞質抗体(ANCA)とは、体内の免疫担当細胞である好中球を誤って攻撃してしまう自己抗体の一種です。
ANCAは「ANCA関連血管炎(血管の炎症を引き起こす病気)」に関与しており、主な種類にはプロテイナーゼ3(PR3)を主な抗原とするC-ANCA(PR3-ANCA)と、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)を主な抗原とするP-ANCA(MPO-ANCA)があり、これらはANCA関連血管炎の診断や活動性の評価に用いられます。
C-ANCA: 3.5(U/mL)未満(EIA法)
P-ANCA: 9.0(U/mL)未満(EIA法)
抗好中球細胞質抗体(ANCA)の概要
略称
ANCA:antineutrophil cytoplasmic antibody
抗好中球細胞質抗体
PR3-ANCA:proteinase 3-ANCA
プロテイナーゼ-3を対応抗原とする抗好中球細胞質抗体
MPO-ANCA:myeloperoxidase-antineutrophil cytoplasmic antibody
抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体
分類と検査
抗好中球細胞質抗体(ANCA)は自己抗体であり、このうち、C-ANCA(PR3-ANCA)とP-ANCA(MPO-ANCA)が血管炎症候群のスクリーニング検査に利用されています。
好中球の細胞質をびまん性に染めるパターンで、主にプロテイナーゼ3(PR3)に反応します。多発血管炎性肉芽腫症でよく検出されます。
好中球の核周囲を染めるパターンで、主にミエロペルオキシダーゼ(MPO)に反応します。顕微鏡的多発血管炎や、急速進行性糸球体腎炎などの腎疾患と関連が深いです。
C-ANCA陽性では、尿検査での腎病変のチェック、耳鼻科健診、X線健診を受けます。ANCA陽性の場合には、急速に進行し死に至るものもあるので、全身的な検査を行い対処します。
抗好中球細胞質抗体(ANCA)が高値の場合
抗好中球細胞質抗体(ANCA)が高値の場合には、以下のことが考えられます。
| C-ANCA | P-ANCA |
|---|---|
| ・Wegener肉芽腫症 | ・顕微鏡多発動脈炎(MPA) ・pauci-immune型壊死性半月体形成性腎炎(NCGN) ・単状壊死性腎炎(FNGN) ・アレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA) ※低値だが、進行性全身性強皮症(PSS)やグッドパスチャー(Goodpasture)症候群でも 陽性になる |






