抗ミトコンドリア抗体(AMA)は、自己免疫疾患、特に原発性胆汁性胆管炎(PBC)の診断に用いられる自己抗体です。
この抗体は、ミトコンドリアに存在する抗原(特にM2分画の ピルビン酸脱水素酵素複合体(PDC-E2))に反応し、PBC患者の約90%以上で陽性となるため、診断的価値が高いとされています。
ただし、PBC以外にも早期梅毒、一部の膠原病、薬剤性肝障害などでも陽性となることがあるため、他の検査結果と合わせて総合的に判断する必要があります。
抗ミトコンドリア抗体(AMA)の基準値
陰性(20倍未満)(蛍光抗体法)
目次
抗ミトコンドリア抗体(AMA)の概要
抗ミトコンドリア抗体(AMA)は、原発性胆汁性肝硬変(PBC:primary biliary cirrhosis)の患者血清中に高率、および高力価に出現する自己抗体です。
そのため、原発性胆汁性肝硬変の診断には必要不可欠な検査項目になります。
抗ミトコンドリア抗体陽性の場合には、肝生検で病理組織学的確認をします。
仮に、陰性であっても、原発性胆汁性肝硬変(PBC)を疑う場合には肝生検を行います。
抗ミトコンドリア抗体弱陽性の場合は、抗ミトコンドリアM2抗体検査を行い確認します。
略称
抗ミトコンドリア抗体
AMA:anti-mitochondrial antibody
原発性胆汁性肝硬変(PBC)とは?
中高年以降の女性に多く発症する肝小葉内胆管の変性・破壊による慢性肝内胆汁うっ滞をきたす自己免疫性肝硬変です。
原発性胆汁性肝硬変(PBC)では、赤沈の亢進、ALP、LAP、γ-GTP、総コレステロール、IgMの値の上昇がみられます。
抗ミトコンドリア抗体(AMA)が高値の場合
抗ミトコンドリア抗体(AMA)が高値の場合には、以下のことが考えられます。
| 高値(40倍以上) | 陽性 |
|---|---|
| ・原発性胆汁性肝硬変(PBC) ・CREST症候群 | ・自己免疫性肝炎 ・慢性肝炎 ・薬剤性肝障害 ・心筋症 ・膠原病 ・梅毒 |






