尿中妊娠反応検査(妊娠検査薬)は、妊娠すると分泌される「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」というホルモンを尿中で検出し、妊娠の有無を判定します。
検査薬は、妊娠開始後から尿中に出る「hCGホルモン」に反応します。
生理予定日の1週間後以降に検査を行い、尿をかけることで判定窓に陽性か陰性の結果が線で表示されます。
| 判定窓 | 結果 |
|---|---|
| 2本線 | ・陽性:妊娠の可能性が高い ・産婦人科を受診して確定診断 ・子宮外妊娠や異常妊娠の可能性を除外することが重要 |
| 1本線 | ・陰性:妊娠の可能性は低い ・hCG濃度が低い可能性を考え1週間後に再検査 ・生理がこない場合には病院で相談 |
尿中妊娠反応検査の概要
妊娠から判定まで
妊娠検査薬は、妊娠時にのみ分泌されるhCGホルモンに反応するしくみになっています。
受精卵が着床し、胎盤のもとになる絨毛が作られ始めると、hCGホルモンが分泌され始めます。
分泌されたhCGホルモンは、腎臓を通して尿中に排出されるため、尿中の濃度が上昇します。
妊娠検査薬は、尿中のhCG濃度が一定値以上になると、判定窓に線が表示され「陽性(妊娠している)」となります。
hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の基準値と推移
hCGの基準値
| 判定 | hCG濃度 |
|---|---|
| 陰性(非妊娠) | 5mIU/mL未満 |
| 陽性(妊娠の可能性あり) | 25mIU/mL以上 |
※一般的な市販の妊娠検査薬では、「25mIU/mL以上」で陽性反応を示すものが多いです。高感度タイプの製品では、「10mIU/mL程度」でも反応します。
hCGの推移(妊娠初期の目安)
| 妊娠週数(最終月経から) | hCG濃度 (mIU/mL) |
|---|---|
| 3週目 | 5~50 |
| 4週目 | 10~750 |
| 5週目 | 200~7,000 |
| 6週目 | 200~32,000 |
| 7~8週目 | 4,000~210,000 |
尿中妊娠反応検査のタイミングと検査方法(一般的なものの場合)
検査のタイミングと最適尿
検査のタイミングは、生理開始予定日の約1週間後が目安です。
また、朝一番の尿が、尿中のhCG濃度が高いため適しています。
一般的に推奨されるタイミング
| 検査のタイミング | |
|---|---|
| ① 生理開始日や周期が不明な場合 | 性交日の3週間後以降 |
| ② 排卵日が推定される場合(基礎体温の測定などにより) | 推定排卵日の3週間後以降 |
| ③ 前回の生理開始日がわかっており、かつ生理周期が一定の場合 | 次回生理開始日の1週間後以降 |
検査方法
尿中妊娠反応検査は、尿を検査キットにかけるだけででき、非常に簡単な検査です。
- 検査キットの採尿部に尿をかける(またはコップに尿をとって浸す)
- 一定時間(1~5分程度)待つ
- 判定窓に線が出るかを確認する
判定結果と注意点
判定窓:2本線の場合
判定窓に2本線の場合は、「陽性:妊娠の可能性が高い」ことを示しています。
産婦人科を受診して確定診断を受けるとともに、子宮外妊娠や異常妊娠の可能性を除外することも重要です。
判定窓:1本線の場合
判定窓に1本線の場合は、「陰性:妊娠の可能性は低い」ことを示しています。
ただし、hCG濃度がまだ低くて検出できない場合もあるため、1週間後に再検査をするか、生理がこない場合には病院で相談することが大切です。
検査精度と偽陽性・偽陰性
尿中妊娠反応検査の精度は99%以上です。
ただし、偽陽性や偽陰性の場合もあります。
陽性(妊娠)
- 妊娠
hCGは妊娠早期から産生されるため、排卵の14日前後から高感度試薬の反応下限(25mIU/mL)よりも上昇します。
偽陽性(妊娠していないのに陽性になること)
- 閉経後、または閉経期のホルモン変化
- 化学流産(妊娠超初期の流産)
- 不妊治療目的でhCG製剤の投与中
- 絨毛性腫瘍
:妊娠時に胎盤を構成する絨毛細胞が異常に増殖して発生する病気の総称 - hCG産生腫瘍
:胎盤由来腫瘍や卵巣がん、精巣腫瘍、膀胱がん、腎臓がん、前立腺がん、消化器がん、乳がん、肺がん など
偽陰性(妊娠しているのに陰性になること)
- 尿量が多い
- 検査薬の使用ミス(尿が薄い、時間を間違えるなど)
- hCG濃度が低すぎる(検査が早すぎる)
- 子宮外妊娠
:受精卵が子宮内膜以外の場所に着床する妊娠で「異所性妊娠」とも呼ばれる
:妊娠初期の異常妊娠の代表的な疾患で、全妊娠の約1~2%に発生する - 稽留流産(けいりゅうりゅうざん)
:妊娠初期に子宮内で赤ちゃんが亡くなっている状態
:出血や腹痛などの流産のサインはなく、超音波検査で発見されることが多い






