β2-マイクログロブリン(β2-MG)は、すべての有核細胞の表面に存在する低分子量の蛋白で、MHCクラスI分子の軽鎖として免疫応答に関わります。
腎臓で糸球体で濾過された後、尿細管で再吸収・分解されますが、腎機能低下や細胞の過剰産生によって血清値が上昇し、腎尿細管障害があると尿中濃度も上昇します。
悪性腫瘍、炎症性疾患、腎不全などで高値を示し、特に多発性骨髄腫の予後指標や、透析患者におけるアミロイドーシス予防の目安にもなります。
β2-マイクログロブリン(β2-MG)の基準値
血清: 0.8~2.4(mg/L)(RIA法)
目次
β2-マイクログロブリン(β2-MG)の概要
β2-マイクログロブリン(β2-MG)は、分子量11,800の低分子蛋白で、腎糸球体を容易に通過し、近位尿細管で再吸収され代謝されます。
尿細管障害がある場合には、β2-MGが尿細管で再吸収されず、尿中に出現します。
腎糸球体障害がある場合には、β2-MGが濾過されにくく、血清中に増加します。
尿中、および血清β2-マイクログロブリンを測定することによって、尿中β2-マイクログロブリンでは尿細管の障害の指標、血中β2-マイクログロブリンでは腎機能の指標になります。
その他に、非特異的な腫瘍マーカーや炎症マーカーとして利用されています。
略称
β2-マイクログロブリン
β2-MG:β2-microglobulin
β2-MGの性質と役割
分子構造と分布
分子量約1.2万の低分子蛋白で、赤血球を除く全身の有核細胞の表面に広く存在します。
生理的役割
HLAクラスI分子の構成要素として、細胞表面に発現し、免疫応答に重要な役割を果たします。
腎での排泄と代謝
臨床的意義
血清β2-MG
- 腎機能低下の指標: 糸球体の濾過能力が低下すると、血清濃度が上昇します。
- 疾患の指標: 悪性腫瘍(特に多発性骨髄腫やリンパ腫)、炎症性疾患、自己免疫疾患などで細胞の過剰産生により血清濃度が上昇します。
尿中β2-MG
- 尿細管障害の指標: 尿細管の再吸収機能が低下すると、尿中への排出が増加し、尿中濃度が高値になります。
透析患者における意義
透析患者ではβ2-MGが体内に蓄積し、アミロイドーシス(透析アミロイドーシス)を引き起こす原因となるため、その血中濃度を管理することが重要です。
β2-マイクログロブリン(β2-MG)が高値の場合
β2-マイクログロブリン(β2-MG)が高値の場合には、以下のことが考えられます。
| 高値 | 中高値 |
|---|---|
| ・慢性腎不全 ・急性腎不全 ・糸球体障害 慢性糸球体腎炎 ・多発性骨髄腫 | ・肝疾患 ・悪性腫瘍 |






