尿中N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ(NAG)は、腎臓の近位尿細管上皮細胞に存在する酵素で、尿細管や糸球体の障害があると尿中に漏れ出し増加するため、腎障害の早期発見や評価に用いられる指標です。
主に腎臓の疾患、薬物による腎毒性、腎移植後の拒絶反応などの診断や経過観察に使われ、他の腎機能検査(尿中β2-マイクログロブリン、クレアチニンなど)と合わせて評価されます。
0.97~4.17(U/L)
尿中N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ(NAG)の定義
尿中N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ(NAG)は、腎臓の近位尿細管上皮細胞のライソゾームに局在する加水分解酵素のひとつです。
尿中には近位尿細管からの逸脱酵素として存在します。
間質性腎炎や急性尿細管壊死などで見られる尿細管病変のほか、腎糸球体障害に続発した尿細管障害などにおいても尿中NAGの増加が確認できます。
- 腎臓の近位尿細管上皮細胞のライソゾームに局在する加水分解酵素の1つ。
- 尿中には近位尿細管からの逸脱酵素として存在。
- 間質性腎炎、急性尿細管壊死、糸球体腎炎の早期発見や病変の進行度の指標。
尿中NAGは間質性腎炎、急性尿細管壊死、糸球体腎炎の早期発見や病変の進行度の指標として有用です。
略称
尿中N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ(NAG)
NAG:N-acetyl-β-D-glucosaminidase
NAGの主な特徴と臨床意義
① 酵素の由来
NAGは腎臓の近位尿細管や前立腺に多く含まれるライソゾーム酵素です。
② 尿中への逸脱
通常は分子量が大きいため尿中にはほとんど排泄されませんが、腎の尿細管上皮細胞が障害を受けると細胞から逸脱し、尿中に増加します。
③ 腎障害の指標
尿中NAGの増加は、急性尿細管壊死や間質性腎炎などの腎障害のサインと考えられます。糸球体障害でも尿中に濾過され増加するため、尿細管障害の早期発見に有用とされています。
検査の際の注意点
日内変動
早朝から午前中に高値となり、午後から夜間にかけて低くなる傾向があるため、24時間蓄尿での検査が望ましいです。
尿のpH
pHが極端に低い酸性尿(pH4.0以下)やアルカリ尿(pH8.0以上)では、酵素活性が低下する可能性があるため注意が必要です。
尿中N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ(NAG)が高値の場合
尿中N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ(NAG)が高値の場合には、以下のことが考えられます。
- 間質性腎炎
- 急性尿細管壊死
- 糸球体腎炎
- 糖尿病性腎症
- ネフローゼ症候群






