尿中β2マイクログロブリン|基準値

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尿中のβ2マイクログロブリンは、主に尿細管障害(腎臓の「再吸収機能」の障害)の評価に用いられ、その濃度上昇は尿細管の機能が低下していることを示唆します。

また、血中からの過剰産生が原因で尿細管の再吸収能力を超えて尿中に排出される場合もあり、多発性骨髄腫(骨髄腫腎)、悪性腫瘍、自己免疫疾患などでも高値となります。

尿中β2マイクログロブリンは酸性尿では不安定になり分解されるため、測定にはpHに注意が必要です。

尿中β2マイクログロブリンの基準値

230(μg/L)以下(部分尿・蓄尿)


参考図書


目次

尿中β2マイクログロブリンの概要

β2-マイクログロブリン(β2-MG)は、有核細胞膜の表面に分布する低分子ポリペプチドです。

腎糸球体基底膜を通過し、尿細管上皮細胞により再吸収されますが、尿細管障害によりβ2マイクログロブリンの再吸収が低下し、尿中の排泄量が増加します。

β2マイクログロブリンはNAG(尿中N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ)とともに、腎尿細管障害の指標になり、間質性腎炎、急性尿細管壊死、および糸球体腎炎(二次的な尿細管障害)などで高値になります。

また、血中のβ2マイクログロブリンが増加する状態(悪性腫瘍、自己免疫疾患、ウイルス感染など)においても、尿細管上皮での再吸収閾値を超える量が腎糸球体基底膜を通過すると、尿細管障害がみられなくても尿中β2マイクログロブリンは高値になります。

測定の意義と病態

① 尿細管障害の指標

ほとんどのβ2マイクログロブリンは腎臓の近位尿細管で再吸収されますが、この機能が障害されると尿細管での再吸収が減少し、尿中への排出量が増加します。

② 糸球体機能との関係

β2マイクログロブリンは低分子蛋白であり腎糸球体で容易に濾過されます。糸球体の濾過機能が低下すると、血中濃度が上昇するため、糸球体機能の評価にも用いられます。

③ 鑑別診断

血中のβ2マイクログロブリンは糸球体機能低下、尿中のβ2マイクログロブリンは尿細管機能低下と関連が深いため、両者を併せて評価することで病態の鑑別や診断に役立ちます。

尿中β2マイクログロブリンが高値の場合

尿中β2マイクログロブリンが高値の場合には、以下のことが考えられます。

  • 間質性腎炎
  • 急性尿細管壊死
  • 慢性糸球体腎炎
  • 糖尿病性腎症
  • 悪性腫瘍・自己免疫疾患・ウイルス感染(血中β2マイクログロブリン増加) 

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