塗抹検査(とまつけんさ)は、喀痰(かくたん)、尿、血液などの検体をスライドガラスに薄く塗り広げ、染色し、顕微鏡で観察することで、細菌の有無、量、形態を迅速に調べる検査です。
グラム染色などの手法が用いられ、感染症の原因となる菌を特定するのに役立ちますが、培養検査のように菌の同定や薬剤感受性検査を確定するものではありません。
目次
塗抹検査の概要
塗抹検査の目的
塗抹検査の目的は、感染症の原因菌を素早く特定し、感染の有無や菌の量を把握することです。
塗抹検査の特徴
| 迅速性 | 最も簡便で迅速な検査の一つで、早期に結果が得られます。 |
| 染色と顕微鏡観察 | グラム染色などにより細菌を染色し、その形態(形)と染色性から菌種をある程度推測できます。 |
| 培養検査との連携 | 塗抹検査だけでは菌種や薬剤感受性を確定できないため、通常は培養検査と組み合わせて行われます。 |
検査の具体的な例
| 喀痰塗抹検査 | 喀痰を塗抹して顕微鏡で観察し、呼吸器感染症の原因菌を探します。 |
| 血液塗抹検査 | 血液をスライドガラスに塗り、血液細胞の形態異常や数などを調べます。 |
| 抗酸菌検査 | 特異的な染色法(チール・ネールゼン染色法など)を用い、結核菌などの抗酸菌を検出します。 |
塗抹検査における染色性による分類
塗抹検査における各種染色に対する染色性による分類は、以下のようになります。
| グラム染色 | 特殊染色 |
|---|---|
| ①グラム陽性菌 グラム染色によって紫色に染まる菌 ②グラム陰性菌 グラム染色によって赤色に染まる菌 | ①抗酸菌染色(チール・ネルゼン染色) 結核菌に代表される抗酸菌が赤色に染色 ②芽胞染色 芽胞が緑色に染色(ある種のグラム陰性球菌(嫌気性菌)でみられます。) ③異染小体染色 異染小体が黒褐色に染色(ジフテリア菌など) ④鞭毛染色 鞭毛および菌体ともに赤色に染色(コレラ菌、ヘリコバクターピロリ、その他の菌にみられ、細菌の運動性に関係しています) ⑤莢膜染色 染色法によって染色性が異なります |






