SLX(シアリルLex-i抗原)は、肺腺がん、卵巣がん、膵がんなどの腺がんにおいて高値を示す腫瘍マーカーであり、診断の補助、治療効果のモニター、再発の早期発見に用いられます。
SLXはシアリルLex-i抗原の略称で、がん細胞の表面で増加する糖鎖抗原であり、良性疾患での偽陽性率が比較的低いため、他の検査と組み合わせて利用されます。
SLX(シアリルLex-i抗原)の基準値
38.0(U/mL)以下(CLIA法)
目次
SLX(シアリルLex-i抗原)の概要
SLX(シアリルLex-i抗原)は、糖鎖性の腫瘍マーカーの一つです。
腺癌に特異的で、おもに肺癌(腺癌)、卵巣癌、膵臓癌の診断、経過観察、治療効果のモニタリングに用いられています。
肺癌では、腺癌で陽性率が高く、SCC(扁平上皮癌)、NSE、ProGRP(小細胞癌)と併用することによって、肺癌の組織型の診断の参考になります。
卵巣癌では、漿液性嚢胞腺癌、および粘液性嚢胞腺癌で高値になり、良性腫瘍では陽性率が極めて低いです。
膵臓癌では、CA19-9と併用することで診断率の向上が見られます。
肺癌では、SCC抗原、ProGRP、NSEと併用することによって、組織型の推定が可能です。
卵巣癌のCA125では、漿液性嚢胞腺癌に特異的ですが、SLXは粘液性嚢胞腺癌でも陽性率が高くなります。
SLX陽性の場合は、画像診断で精査し、細胞診検査、病理検査などで診断を確定します。
SLX陽性の癌患者は、血行性転移の可能性が高く、画像診断などで転移の有無を把握します。
SLX(シアリルLex-i抗原)が陽性の場合
SLX(シアリルLex-i抗原)が陽性の場合には、以下のことが考えられます。
| 陽性 | 偽陽性 |
|---|---|
| ・肺癌(腺癌) ・卵巣癌 ・膵臓癌 ・胆道癌 | ・びまん性汎細気管支炎 ・肺線維症 ・気管支拡張症 ・重症肺結核 |
その他の腫瘍マーカー
| 各種臓器の癌 | 腫瘍マーカー | |
|---|---|---|
| 肺癌 | 腺癌 | ・SLX ・CEA(癌胎児性抗原) |
| 扁平上皮癌 | ・SCC ・CYFRA(シフラ) | |
| 小細胞癌 | ・NSE ・ProGRP | |
| 食道癌 | ・SCC ・CYFRA(シフラ) | |
| 肝臓癌 | ・AFP ・PIVKA-Ⅱ | |
| 乳癌 | ・CA15-3 ・CEA(癌胎児性抗原) | |
| 胆嚢・膵臓癌 | ・CEA(癌胎児性抗原) ・CA19-9 ・CA-50 ・DUPAN-2 ・Span-1 | |
| 胃・大腸癌 | ・CEA(癌胎児性抗原) ・STN(シアリルTn抗原) | |
| 前立腺癌 | ・PSA(前立腺特異抗原) | |
| 卵巣癌 | ・CA125 ・CA130 ・CA72-4 | |
| 絨毛癌 | ・HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン) | |






