抗酸菌|基準値

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抗酸菌(こうさんきん)とは、特定の染色工程で酸による脱色に抵抗し、色素を保持する性質を持つ細菌の総称です。

結核菌やらい菌も抗酸菌に含まれますが、これら以外の菌は「非結核性抗酸菌(非定型抗酸菌)」と呼ばれ、土壌や水、給水システムなど環境中に広く生息しています。

これらの非結核性抗酸菌が肺に感染したものを「肺非結核性抗酸菌症(肺MAC症)」と呼び、主にMAC菌(アビウム菌・イントラセルラーレ菌の複合体)が原因とされています。


参考図書


目次

抗酸菌の概要

抗酸菌の主な特徴

① 染色性

チール・ネールゼン染色(酸アルコール処理で脱色されない性質)を持つ細菌のグループです。

② 生息場所

土壌、水、水道・貯水槽、家畜など、自然環境や身近な生活環境に広く分布しています。

③ 人への影響

一般的には病気を起こしませんが、免疫力が低下している人や肺に基礎疾患がある人などで感染・発症することがあります。

 

抗酸菌の種類

抗酸菌は大きく以下の2つに分けられます。

  • ヒト型結核菌 - Mycobacterium tuberculosis complex
  • 非定型抗酸菌(非結核性抗酸菌) - Mycobacterium avium complex
非定型抗酸菌(非結核性抗酸菌)
  • Mycobacterium avium complex(MAC)
  • Mycobacterium kansasii
  • Mycobacterium intracellulare

非結核性抗酸菌症について

非結核性抗酸菌症は、環境中の菌を含んだ埃や水滴を吸い込むことで感染すると考えられ、結核菌とは異なり人から人へは感染しません。

慢性的な咳や痰、体重減少、呼吸困難などが見られますが、自覚症状がなく健康診断で発見されることもあります。

発症すると根治が難しい場合があり、長期にわたる抗生剤治療が必要となることがあります。

特に日本では中高年のやせ型の女性を中心に増加傾向にあり、注意が必要です。

抗酸菌の検査法

① 顕微鏡検査

検体喀痰、尿、胃液、膿汁、体腔液(胸水、脳脊髄液)など
検査法・抗酸菌染色(チール・ネルゼン染色)
・蛍光染色(オーラミン染色)
基準値陰性、ガフキー(Gaffky)0号

② 培養・同定法

検体顕微鏡検査と同じ
検査法小川培地、Middlebrook合成培地(日本は小川培地が主流)による抗酸菌培養
        ↓
ナイアシン試験などによる同定
        ↓
ヒト型結核菌と他の抗酸菌との鑑別
基準値抗酸菌陰性

③ 核酸同定法

検体分離された抗酸菌
検査法DNAハイブリダイゼーション法
基準値抗酸菌陰性

④ 核酸増幅法

検体喀痰、髄液、その他NALC-NaOH処理検体
検査法PCR法(ポリメラーゼ連鎖反応法)
基準値抗酸菌陰性

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