エストロゲン(特にエストラジオール:E2)の検査基準値は、性別、年齢、月経周期の段階(卵胞期、排卵期、黄体期)、閉経後の状態によって大きく異なります。
例えば、閉経前の女性では月経周期によって数値が変動し、排卵期には最も高くなります。
閉経後では数値が著しく低下し、妊娠中の場合は非常に高くなります。
| E2(pg/mL) | E3(pg/mL) | |
|---|---|---|
| 成人男性 | 15~60 | 5以下 |
| 卵胞期 | 25~100 | 5以下 |
| 排卵期 | 150~450 | 5以下 |
| 黄体期 | 70~220 | 5以下 |
| 妊娠前期 | 2,300~7,400 | 20~100 |
| 妊娠中期 | 9,700~18,400 | 100~10,000 |
| 妊娠後期 | 16,500~32,400 | 10,000~40,000 |
| 閉経期 | 35以下 | ー |
目次
エストロゲン(E2、E3)の概要
エストロゲンは、卵胞ホルモン作用をするホルモンです。
内因性のものとして、エストロン(E1)、エストラジオール(E2)、エストリオール(E3)の3つがあり、女性ではおもに卵巣から、男性では睾丸から分泌されます。
エストロゲンとして最も活性が高いのはE2であり、通常のエストロゲンの測定は、血中E2値を卵巣機能の評価などのために測定し、E3は妊娠中に胎盤から分泌されるため胎児・胎盤の機能を評価するために測定されます。
| E2 | E3 |
|---|---|
| 卵巣機能の評価 | 胎児・胎盤の評価 |
エストロゲンの種類と役割
エストラジオール(E2)
主要なエストロゲンで、卵巣から分泌され、月経周期を調節する役割があります。
エストラジオール(E2)が異常値の場合
ホルモン負荷試験や排卵の有無の判定にはプロゲステロンの測定、ターナー症候群などを疑う場合には腹腔鏡検査や卵巣生検を行います。
エストリオール(E3)
主に妊娠中に胎盤から分泌され、妊娠継続に重要な役割を果たします。
エストラジオール(E3)が異常値の場合
血中ヒト胎盤性ラクトゲン(hPL)の測定、分娩監視装置、超音波検査などで胎児・機能検査を行います。
エストロゲンの働き(肝臓で処理される)
- 卵巣で分泌されるホルモンで、視床下部の周期性の継続に関わる。
- 子宮頸管粘液の分泌促進
- 膣粘液の継続
- 乳腺の発達
エストロゲン(E2、E3)の異常とその原因
| E2が高値の場合 | E2が低値の場合 |
|---|---|
| ・エストロゲン産生腫瘍(顆粒膜細胞腫、莢膜細胞腫) ・卵巣過剰刺激症候群 ・先天性副腎皮質過形成 ・肝疾患(男性) ・副腎性器症候群 ・多胎妊娠 | ・卵巣機能低下症 ・ターナー症候群 ・閉経 ・低ゴナドトロピン症 ・キアリ・フロンメル症候群 ・胎盤スルファターゼ欠損症 ・神経性食欲不振症 |
| E3が高値の場合 | E3が低値の場合 |
|---|---|
| ・エストロゲン産生腫瘍(顆粒膜細胞腫、莢膜細胞腫) ・卵巣過剰刺激症候群 ・先天性副腎皮質過形成 ・肝疾患(男性) ・副腎性器症候群 ・多胎妊娠 | ・子宮内胎児脂肪 ・無脳児 ・子宮内胎児発見遅延 ・重症妊娠高血圧症候群 ・胎盤スルフォターゼ欠損症 ・甲状腺機能亢進症 |






