インスリンは、膵臓から分泌されるホルモンで、食事で上昇した血糖値を正常に保つ働きをします。
食事から取り込まれたブドウ糖(グルコース)は血液中に吸収されて血糖値を上げますが、インスリンは筋肉や肝臓などの細胞がブドウ糖を取り込み、エネルギーとして利用したり、グリコーゲン(貯蔵用ブドウ糖)や中性脂肪として蓄えたりするのを促進します。
この作用によって血糖値が下がり、体内のエネルギーバランスが保たれます。
インスリンが不足すると血糖値が高くなり、糖尿病の原因となるため、不足分を外部から補給するインスリン注射治療も行われます。
3.0~15.0(μU/mL)
インスリン(insulin)の概要
インスリン(insulin)の機序
インスリンは、膵ランゲルハンス島β細胞で合成、分泌されるポリペプチドホルモンで、おもに糖代謝に関与します。
インスリンを測定することは、糖尿病の診断、治療、経過観察に重要なだけではなく、インスリノーマやクッシング症候群などにおいても意義があります。
インスリンは、血糖値、血中および尿中C-ペプチドなどの値と対比なども行います。
インスリノーマ
インスリノーマは、膵ランゲルハンス島β細胞の腺腫で、インスリン過剰分泌を認めます。90%は良性です。
インスリンの主な働き
① 血糖値を下げる作用
食事により血液中のブドウ糖が増加すると、インスリンが分泌され、ブドウ糖を細胞内に取り込ませて血糖値を下げます。
② エネルギー利用の促進
取り込まれたブドウ糖は、主に筋肉や脳でエネルギー源として利用されます。
③ ブドウ糖の貯蔵
使われずに余ったブドウ糖は、インスリンの働きによって肝臓や筋肉にグリコーゲンとして、また脂肪細胞に中性脂肪として蓄えられます。
インスリンの分泌と糖尿病
分泌場所
インスリンは、膵臓にあるランゲルハンス島(膵島)という部分のβ細胞から分泌されます。
糖尿病との関係
1型糖尿病のように膵臓のβ細胞がインスリンを分泌できなくなる場合や、2型糖尿病でインスリンの働きが低下したり、分泌が不足したりする場合、血糖値が下がらず高血糖が続くようになります。
高血糖が長く続くと、血管が傷つき、心臓病や腎不全、失明などの合併症につながる可能性があります。
インスリン(insulin)の異常とその原因
| 高値の場合 | 低値の場合 |
|---|---|
| ・インスリノーマ ・肥満 ・クッシング症候群 ・肝疾患(脂肪肝・肝硬変) ・先端巨大症 ・インスリン自己免疫症候群 ・異常インスリン血症 | ・糖尿病 ・膵外腫瘍による低血糖 ・膵疾患(膵炎、膵石症、膵臓癌) ・下垂体機能低下症 ・褐色細胞腫 ・副腎機能不全 |






