AFP(α-フェトプロテイン)|基準値

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AFP(アルファ・フェトプロテイン)は、主に肝細胞癌の腫瘍マーカーとして用いられます。

健康な成人にはほとんど見られないタンパク質が、肝臓の病気や肝がんによって上昇することを利用しています。

肝炎や肝硬変などの良性肝疾患でも上昇しますが、肝細胞癌の診断や進行度、治療効果の判定の指標となります。

基準値より大幅に高い場合は原発性肝がんが、少し高い場合は肝炎や肝硬変が疑われ、確定診断には超音波検査やCT検査が併せて行われます。

AFP(α-フェトプロテイン)の基準値

10.0(ng/mL)以下


参考図書


目次

AFP(α-フェトプロテイン)の概要

AFPの測定目的

AFP(α-フェトプロテイン)は、胎児肝や卵黄嚢において産生されている胎児性蛋白で、血清AFPは肝細胞癌(HCC)の腫瘍マーカーとして通常用いられます。

血清AFPの測定目的
  • 肝細胞癌のスクリーニング(特に肝硬変、慢性肝炎患者の定期的なスクリーニング)
  • 画像診断で肝細胞癌を疑うとき
  • 肝細胞癌の治療効果の判定や予後の経過観察

血清AFP値が高値の場合は、肝機能検査、その他の腫瘍マーカー(PIVKA-Ⅱ、CEAなど)や画像診断(超音波検査、CT、MRIなど)で総合的に判断します。血清AFP-L3分画で良性疾患や転移性肝臓癌を鑑別し、AFPの由来(肝細胞癌)を推測します。

AFPの主な特徴

① 肝細胞癌に特異的

原発性肝細胞癌の90%以上で上昇がみられ、肝細胞癌の診断に重要なマーカーです。

② 肝疾患でも上昇する

肝炎や肝硬変などの良性肝疾患でも、肝細胞の壊死と再生に伴い上昇することがあります。

③ その他の疾患

肝芽腫、ヨークサック腫瘍(卵黄嚢腫瘍)、一部の胃がん(AFP産生胃がん)、妊娠後期などでも高値を示すことがあります。

なぜAFPが上昇するのか?

AFPは胎児期に肝臓やヨークサック*1で産生されるタンパク質で、健康な成人にはごく少量しか存在しません。

肝臓に異常がある場合、このAFP産生細胞が活性化し、血中にAFPが漏れ出ることが考えられます。

(*1)ヨークサックとは?

ヨークサック(卵黄嚢)とは、卵で発生する生物の卵黄を蓄える袋状の器官で、孵化後の初期段階で赤ちゃんが栄養を吸収するためのものです。

サケの仔魚やお腹に袋がついたメダカの稚魚が持つことで知られ、この栄養でしばらくの間はエサを食べずに成長することができます。

AFP(α-フェトプロテイン)の異常とその原因

AFP(α-フェトプロテイン)が高値の場合

高度中等度
・肝細胞癌
・卵黄嚢腫瘍
・胚芽腫
・乳児肝炎
・転移性肝臓癌
・肝硬変
・肝炎(慢性肝炎、劇症肝炎回復期)
・先天性胆道閉鎖症
・妊娠後半

その他の腫瘍マーカー

各種臓器の癌腫瘍マーカー
肺癌腺癌SLX
CEA(癌胎児性抗原)
扁平上皮癌SCC
CYFRA(シフラ)
小細胞癌NSE
ProGRP
食道癌SCC
CYFRA(シフラ)
肝臓癌AFP
PIVKA-Ⅱ
乳癌CA15-3
CEA(癌胎児性抗原)
胆嚢・膵臓癌CEA(癌胎児性抗原)
CA19-9
・CA-50
・DUPAN-2
・Span-1
胃・大腸癌CEA(癌胎児性抗原)
・STN(シアリルTn抗原)
前立腺癌PSA(前立腺特異抗原)
卵巣癌CA125
・CA130
・CA72-4
絨毛癌HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)

参考図書

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