副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)|基準値

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副腎皮質刺激ホルモン(ACTH:Adrenocorticotropic hormone)は、脳下垂体前葉から分泌されるホルモンで副腎皮質でのステロイドホルモン(主にコルチゾール)の合成・分泌を促進する働きがあります。

視床下部から分泌されるCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)によって分泌が調節され、ストレスや日内リズム、そしてコルチゾールによるネガティブフィードバックによって制御されます。

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の基準値

10~60(pg/mL)(早朝空腹時)


参考図書


目次

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の概要

ACTHの機序

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は、視床下部からの副腎刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)により下垂体前葉から分泌されるポリペプチドホルモンです。

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は、副腎刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)の刺激と副腎コルチゾールによるネガティブ・フィードバック機構により調節されています。

副腎皮質からのステロイドホルモン分泌(コルチゾールなど)を促進する働きがあります。


「副腎刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)」が視床下部から分泌される

⇩⇩⇩⇩⇩

「副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)」が分泌される
下垂体前葉から分泌されるポリペプチドホルモン


⇩⇩⇩⇩⇩

「ステロイドホルモン(コルチゾールなど)」が分泌される
副腎皮質からホルモン分泌を促進


血中ACTH値が異常値の場合には、血中コルチゾールを測定します。

ACTHの主な働き

① 副腎皮質の活性化

副腎皮質を刺激し、糖質コルチコイド(コルチゾールなど)や副腎アンドロゲンなどのステロイドホルモンの分泌を促します。

② ストレス反応

ストレスを感じると、視床下部からCRHが分泌され、それに続いて下垂体からACTHが分泌されることで、副腎皮質からコルチゾールが増加し、ストレスへの対応が促されます。

③ 日内変動

覚醒時(早朝)に最も高くなり、就寝時には低くなる日内変動を示します。

ACTHの調節と機能

分泌の調節

視床下部のCRH、下垂体のACTH、そして副腎皮質のコルチゾールという「視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA系)」の間でフィードバック機構が働き、ホルモン分泌が制御されています。

重要な臨床的意義

ACTHの測定は、「視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA系)」の機能異常の診断に不可欠です。

例えば、クッシング病や二次性副腎皮質機能低下症などの病態を診断するために、ACTHとコルチゾールの値を一緒に測定し、比較することが行われます。

ACTHの測定が必要な症状

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は、主にステロイドホルモン分泌過剰や分泌不全の症状がある場合に、コルチゾールとともに測定されます。

ステロイドホルモン分泌過剰の症状ステロイドホルモン分泌不全の症状
・満月様顔貌(ムーンフェイス)
・皮膚線条
・高血圧症
・多毛
・中心性肥満
・易疲労
・体重減少
・脱力
・食欲不振

ACTHの異常とその原因

高値低値
・下垂体腫瘍(ACTH産生下垂体腺腫)
・異所性ACTH・CRH産生腫瘍
・アジソン病
・先天性副腎皮質過形成
・ネルソン症候群
・クッシング症候群
・神経性食欲不振症
・アルコール多飲
・うつ病
・ストレス
・クッシング症候群(副腎腺腫などによる)
・下垂体機能低下症
・ACTH単独欠損症
・視床下部障害(脳腫瘍など)

参考図書

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