本記事は以下の資料をもとに作成しています。
・医科点数表の解釈(令和6年6月版)社会保険研究所
療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を毎日行い、その結果を「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に記入するようになっています。
そして、その評価には「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を用いるようになっています。
この記事では、「評価の手引き」に記載されている医療区分の項目について分かりやすく解説します。
※「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」の概要については以下の記事をご参照ください。
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目次
医療区分の概要(医科点数表の解釈)
医療区分「慢性閉塞性肺疾患」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。
26. 慢性閉塞性肺疾患(ヒュー・ジョーンズの分類がⅤ度の状態に該当する場合に限る。)
語句の説明
- 「慢性閉塞性肺疾患」とは?
-
慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、喫煙などによって肺に長期的な炎症が起こり、気管支や肺胞が破壊・狭窄することで、慢性的な咳や痰、息切れが起こる病気です。
以前は「肺気腫」や「慢性気管支炎」と呼ばれていましたが、これらを含む総称として使われます。
病気が進行すると、歩行などの身体活動で息切れを感じるようになり、生活の質が大きく損なわれます。
スパイロメトリー(呼吸機能検査)を行い、1秒率が70%未満であれば診断されます。
| 主な原因 |
|---|
| 喫煙 | 日本のCOPDの90%以上は喫煙が原因です。本人の喫煙だけでなく、受動喫煙も原因となります。 |
| その他 | 大気汚染、粉じん、遺伝なども原因となることがあります。 |
| 主な症状 |
|---|
| 慢性的な咳や痰 | 長期間続く咳と痰が特徴です。 |
| 息切れ | はじめは階段昇降など身体活動時に感じられますが、病状が悪化すると平地歩行でも息切れするようになります。 |
| 喘鳴(ぜいめい) | ゼーゼー、ヒューヒューといった呼吸音。 |
| 急性増悪 | 風邪などをきっかけに症状が短期間で急激に悪化することがあります。 |
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- 「ヒュー・ジョーンズの分類」とは?
-
ヒュー・ジョーンズ(Hugh-Jones)分類は、呼吸困難の重症度を労作時の症状によってI度からV度の5段階で評価する基準です。
これは、歩行や階段昇降などの運動能力が、同年齢の健康な人と比べてどの程度制限されているかで判断されます。
| 分類 | 呼吸困難の程度 |
|---|
| Ⅰ度 | 同年齢の健常者と同様に動ける。 歩行、階段昇降も健常者並みにできる。 |
| Ⅱ度 | 同年齢の健常者と同様に動ける。 坂、階段の昇降は健常者並みにはできない。 |
| Ⅲ度 | 平地でさえ健常者並みに歩けないが、自分のペースでなら1マイル(1.6km)以上歩ける。 |
| Ⅳ度 | 休みながらでなければ50ヤード(約46m)も歩けない。 |
| Ⅴ度 | 会話、衣服の着脱にも息切れをする。息切れのため外出できない。 |
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評価の要点
【疾患・状態に係る医療区分㉖】慢性閉塞性肺疾患(ヒュー・ジョーンズの分類がⅤ度の状態に該当する場合に限る。)
| 分類 | 医療区分 | 算定期間 | 評価の単位 |
|---|
| 疾患・状態 | 医療区分2 | 期間に限りなし | ― |
慢性閉塞性肺疾患に罹患していることを確認します。
その上で、ヒュー・ジョーンズの分類がⅤ度の状態に該当する場合に限ります。
医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。
評価のチェックポイント
評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。
| 該当要件のチェックポイント |
|---|
| ☐ | 慢性閉塞性肺疾患であり、ヒュー・ジョーンズの分類がⅤ度の状態の場合に限り該当する。 |
| ☐ | 原因疾患の経過記録がある。 |
| ☐ | ヒュー・ジョーンズの分類がⅤ度の状態である記録がある。 |
| ☐ | QOL上の支援に関するマニュアルがある。 |
| ☐ | 診療・看護計画が作成されている。 |
出典:
・医科点数表の解釈(令和6年6月版)社会保険研究所