「医療区分㉟:褥瘡に対する治療」をわかりやすく解説|【処置等に係る医療区分:医療区分2】

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療養病棟入院基本料を算定する療養病棟では、入院患者の医療区分・ADL区分の評価を毎日行い、その結果を「医療区分・ADL区分等に係る評価票」に記入するようになっています。

そして、その評価には「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を用いるようになっています。

この記事では、「評価の手引き」に記載されている医療区分の項目について分かりやすく解説します。

※「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」の概要については以下の記事をご参照ください。

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参考図書


目次

医療区分の概要(医科点数表の解釈)

医療区分「褥瘡に対する治療」は、医科点数表の解釈において以下のように記載されています。


35. 褥瘡に対する治療(DESIGN-R2020分類d2以上の場合又は褥瘡が2カ所以上に認められる場合に限る。)

項目の定義
褥瘡に対する治療(DESIGN-R2020分類d2以上の場合若しくは褥瘡が2カ所以上に認められる状態に限る。)

d0: 皮膚損傷・発赤無し
d1: 持続する発赤
d2: 真皮までの損傷
D3: 皮下組織までの損傷
D4: 皮下組織を超える損傷
D5: 関節腔、体腔に至る損傷
DDTI: 深部損傷褥瘡(DTI)疑い
DU: 深さ判定が不能の場合
評価の単位
1日毎
留意点
部位、大きさ、深度等の褥瘡の程度について診療録に記載し、それぞれについての治療計画を立て治療を実施している場合に該当するものとする。

ただし、入院又は転院時既に発生していた褥瘡に限り、治癒又は軽快後も30日間に限り、引き続き医療区分2として取り扱うことができる。ただし、当該取り扱いを行う場合については、入院している患者に係る褥瘡の発生割合について、患者または家族の求めに応じて説明を行うこと。

語句の説明

「褥瘡」とは?

褥瘡とは、寝たきりなどにより身体の一部が持続的に圧迫されることで血流が悪くなり、皮膚や皮下組織が傷つく状態のことです。

一般的に「床ずれ」とも呼ばれ、骨が突出した部分に起こりやすく、初期には赤みや水ぶくれから始まり、進行すると皮膚が破れたり壊死したりすることもあります。

褥瘡の主な原因
圧迫寝たきりなどで、体の重みによって特定の場所が長時間押しつぶされると、血流が途絶えます。
摩擦・ずれ体を動かす際に、ベッドや衣服などとの摩擦やずれが皮膚を傷つけます。
栄養不良栄養が不足すると、皮膚や組織が弱くなり、褥瘡ができやすくなります。
湿潤汗や尿などで皮膚がふやけていると、皮膚が傷つきやすくなります。
その他高齢、病気による低栄養や筋肉量の低下、感覚の低下などもリスクを高めます。
褥瘡ができやすい場所(骨が突出していて圧迫を受けやすい部位)
背部後頭部、肩甲部、仙骨部など
臀部座骨、大転子部など
下肢かかと、くるぶしなど
褥瘡発生のメカニズム
① 圧迫・摩擦・ずれ長時間、同じ姿勢でいることによる圧迫や、寝具との摩擦・ずれが原因になる。
② 血流の低下圧迫が継続することで、その部分の血液の循環が悪くなり、組織に酸素や栄養が届かなくなる。
③ 組織の損傷血流が滞ることで、組織が損傷し、細胞が死んでしまい、皮膚に傷ができる。
褥瘡の症状の段階
① 初期皮膚が赤くなる、しびれ、痛みを感じる。
② 進行期赤みが赤紫に変わったり、水ぶくれができたり、皮膚がむけたりする(びらん)。
③ 重症期傷が深くなり、皮膚の下の組織や筋肉にまで達する。壊死組織(黒ずんだ部分)ができたり、細菌感染して膿が出たりすることがある。

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「DESIGN-R2020分類」とは?

DESIGN-R®2020は、褥瘡の重症度を評価・分類するスケールで、深さ(D/d)、滲出液(E)、大きさ(S)、炎症・感染(I)、肉芽組織(G)、壊死組織(N)、ポケット(P)の7つの項目で評価します。

褥瘡状態評価スケール:改定DESIGN-R®2020 コンセンサス・ドキュメント(一般社団法人 日本褥瘡学会)

https://jspu.org/medical/books/docs/design-r2020_doc.pdf

「医療区分の概要」に戻る≫≫

評価の要点

【処置等に係る医療区分㉟】褥瘡に対する治療(DESIGN-R2020分類d2以上の場合又は褥瘡が2カ所以上に認められる場合に限る。)

分類医療区分算定期間評価の単位
処置等医療区分2期間に限りなし1日毎

褥瘡に対する治療をしていることを確認します。

褥瘡の状態が、下記のいずれかの場合に限ります。

  • DESIGN-R2020分類d2以上の場合
  • 褥瘡が2カ所以上認められる場合

褥瘡は、部位・大きさ・深度等について診療録に記載し、治療計画を立て治療を実施している場合に該当します。

入院または転院時に、既に褥瘡が発生していた場合には、治癒または軽快後も30日間に限り、引き続き医療区分2として取り扱うことができます。

ただし、取り扱いを行うときは、入院している患者に係る褥瘡の発生割合について、患者または家族の求めに応じて説明を行います。

医療区分の該当要件に当てはまるかを確認し、算定期間の要件に注意して評価票に記入をすることが大切です。

評価のチェックポイント

評価のチェックポイントを確認して、評価ミスや記入漏れがないようにしましょう。

該当要件のチェックポイント
褥瘡に対する治療を実施している状態である。
DESIGN-R2020分類d2以上の場合、または褥瘡が2カ所以上に認められる場合に限り該当する。
褥瘡の部位・大きさ・深度等の程度について診療録に記載している。
診療計画を立てて治療を実施している。
治療計画や実施内容を診療録に必ず記載している。
算定期間のチェックポイント
1日毎に評価を行っている。                                     

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  • 患者単位の医療区分2・3の割合(重症度割合)
  • 病棟単位の医療区分2・3の割合(重症度割合)
  • 病棟単位の医療区分の内訳(割合)
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